さて、究極の良い音のアンプを目指して、真空管アンプの回路を解析していきたいと思う。
(自分でもまだ良く判らないところがあるので、頭を整理するため)
まずはっきりしたいのだが、従来の真空管アンプの設計は、いかに大きな出力や低歪率を得るかの数字マジックに拘って設計されていることが多い。だが、我が家は高能率スピーカーなので、アンプ出力など1W あれば足りてしまう。最大出力などどうでも良いのだ。そんなことよりいかに良い音のアンプを目指すかが大事だ。そのためには各部分を最高に音の良い回路にしたい。そこの考えをまず変えるべきだと思っている。音の良くない50Wのアンプより、音の良い5Wのアンプが欲しい。だが、誤解されたくないがケチったアンプでもOKと言っているのではない。小さな出力トランスはまったくダメだ。出力は5Wでも良いが、出力トランスは100W 級でないと良い低音・高音が出ない。欠点の無い設計をしたいのではなく、あくまでも音の良いアンプを得ることが目的だ。
下図のムラード型のアンプは3つのブロックからなっていて、それぞれのブロックはほぼ完全に分離されている。正確には、初段とドライバー段は直結なので若干関係性はあるがそれでもほとんど分けて考えることが出来る。
それぞれのブロックの役割は、
(1)初段は電圧を数十倍に増幅している
(2)ドライバー段は数倍の増幅をすると共に、位相が反転した2つの信号を得る位相反転回路
の役割をしている。
(3)出力段は数倍の増幅をするとともにトランスを介してスピーカーを駆動する電力増幅をしている。
しかも、出力段の入力はコンデンサーで切れているので、単に極性が反転した2つの信号を加えてやるだけで音が出る。ただそれだけのことだ。各ブロックを分離してモジュール化したアンプブロックを作っても面白いと思う。そうすればレゴのように好みの出力段と好みのドライバー段を組み合わせて自分好みのアンプをカスタマイズできる。シンプルな真空管回路ならではの構成ではないか?
それぞれのブロックを最高に良い回路にしていきたい。そのために最大出力が多少減ったって知ったことではない。シンプルで音の良い回路に出来るなら、出力段を駆動するドライブ段の出力が多少足りなくてもかまわない。
良い音にするには、そういった割り切りをはっきりするべきだと思う。
次回は、まず初段の回路について考えていきたい。

- 2014/01/06(月) 22:47:00|
- 直感アンプ塾
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