今の開発の目的は、DACチップの出力の差動信号を直接パワーアンプのプッシュプル回路で増幅すること。しかもなるべくシンプルな回路で。
どうやったらなるべく部品を減らしてシンプルな回路に出来るのか考えているが、段々と何をすべきか見えてきた。
なぜプッシュプル回路が良いと思うかというと、出力トランスにDC成分を流したくないことと、正負の異なる動作の回路がアンプ内部で働いていた方がバランスが取れてグランドが振られなくて済むと思うから。実際、プッシュプルでないと重低音再生は難しい。
よく考えると、パワーアンプのプッシュプル回路は差動増幅器ではない(カソード結合回路ではない)。私の目指しているのは 正確には、”全段差動回路”ではないことが判ってきた。
平衡回路(Balanced Circuit) と 差動増幅器(Differential Amplifier)の定義を見ると、
平衡回路(Balanced Circuit) 差動増幅器(Differential Amplifier) また、差動増幅回路のメリットは、
全段差動プッシュプル・アンプに書いてある。素晴らしい資料だ。
差動増幅器とは、二つのアンプ回路がカソードを共通にしてシーソーの様な動作をしているという事だ。差動増幅器とは呼ばずにカソード結合回路と言った方がはっきりするね。
差動回路のメリットは、グランドレベルに関係なく信号の差分を増幅してくれる事だ。だから、外部から来る信号をノイズの影響を避けて受ける回路には適している。だが、アンプ内部では全段を差動にする必要はないと考える。
しかも、
最近の実験で、出力管の電流パスに大抵抗を入れると決定的に音が悪くなることが分かった。そういう意味では、差動回路(カソード結合回路)はなるべく使いたくないと思う。同様に、もし定電流源を回路内に使えば、それが音質に対して支配的なのは容易に想像出来る。それも避けたい。
私は、アンプ内部に差動回路(カソード結合回路)が欲しいのではなく、単に正負のバランスの取れた動作をする回路が欲しいのだ。そういう意味では、完全プッシュプル回路と呼ぶのが正しいと思う。(本当は完全バランス回路と呼びたいが誤解されそうなので、避けておく)


- 2013/10/18(金) 01:06:11|
- 真空管アンプ
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