”デジタルオーディオで音質が悪化する原因がジッターである”ということが言われるようになって久しいが、ジッター発生の原因がどこにあり、ジッターが有るとどうして音が悪くなるのかを明確に書いた資料を見たことがない。これから何回かでジッターの性質に関して考えていきたい。最終的に音を悪くしているのはDACチップのBCLKのジッターであることと、どうしてBCLKにジッターが乗るのかについて。

まず第一に認識しなくてはいけないのは、DACチップのI2S信号のBCLKには2つの役割があるということ。
(1)デジタルデータをDACチップに伝えるためのDATA信号をラッチさせるためのストローブパルスとしての役割
(2)音楽再生のための基本タイミングとしての役割
(1)に関してはジッターが有っても影響は受けない。数十nsの巨大なジッターでも乗らない限りデータエラーを起こすことは無い。しかし、(2)に関しては人間の耳は数十psのわずかなジッターでも聞き分けてしまうようだ。それが問題なのだ。
つまり、(2)の役割に関してはタイミング信号を送っているのであるから、これはアナログ信号なのだ。アナログ信号であれば、その精度によって音質が影響を受けるのは当然である。逆に言うと、これ以外にはアナログ的な要素は無い。

そもそもDACチップはCDオーディオが出来る前から存在していた。それをデジタルオーディ用に改良したものだから今のようなIFになっていると言っても過言ではないと思う。デジタル部のクロックのジッターが音質に影響するなんて夢にも思っていない時代だから、デジタル部のクロックを音楽再生用に使ってしまったと言うのが実体だろう。音質的には非常に無責任なインターフェースと言っても良いと思う。
最近になってジッターで音が悪くなることが判ってきて、はじめてES9018のようにジッタークリーナーを内蔵したり内部クロックを自分で発生するDACチップがやっと出てきたわけで、それ以前はDACチップはI2Sで送られてくるクロックに完全に従属して動作していたわけだ。

さて、ジッター発生の原因はいろいろなところに有りうる。XTAL(原発信)の精度(低ジッター)だけが問題であるかのような記事も多いが、それだけではないと思う。だんだんに考えていきたい。
- 2013/01/24(木) 20:29:12|
- ジッターについて
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