
私はホーンスピーカーの音が大好きで、イベントなどで聴くエレクトロボイスのスピーカーから出るサックスの音に痺れたものだ。ボーカルやブラス系、ドラムのアタック音などはホーンスピーカー以外では再生不能ではないかと思う。
だが、これを家で聞こうと思うと色々と苦労を背負い込むことになる。
(1)能率が高すぎる
家で聞くならボリュームをどんどん絞らないと適当な音量にならない。これだけならライントランスでレベルを落とすことで対処も出来る。だが、あまりにも高能率なのでパワーアンプのボリュームを絞りきっても、ノイズが聞こえてしまう。これはプリアンプではどうすることも出来ない。オーディオ用の高級アンプはS/Nも良いので問題ないが、業務用のパワーアンプはS/Nも悪く、ゲインも高いのでノイズが凄くて使えない。こんな落とし穴があるとは思わなかった。
(2)市販品のドライバー+ホーンの再生帯域が微妙だ
よくある1~2インチのドライバーを使ったホーンスピーカーのクロスオーバーは最低でも500Hzくらいだ。この周波数が非常に微妙なところだ。一番気になるボーカルの帯域に引っかかっているのだ。(女性ボーカルにも影響する)
PA用の2WAYスピーカーなどはウーハーが38cmでカットオフが1.5KHzなんてのが多いが、38cmウーハーの音で1.5KHzなんてとても聞けたものではない。(D130とかなら別かもしれないが)ボーカルが最悪だ。そう考えるとウーハーは300Hzくらいでカットしたくなる。
そうなると300~1.5KHz位の音を再生するミッドレンジが欲しくなる。だが、そういうスピーカーがなかなか見つからない。適当なミッドバスホーンが無いのだ。なので、JBLは中高域がホーンでもミッドバスにはコーン型を使っていた。
写真のVRS800の中域ホーンは250Hzくらいから数KHzまで再生可能な非常に珍しい30cmドライバを使ったホーンだ。これが欲しくてVRS800を手に入れたといっても良い。これはなかなか得がたいものだ。
(3)クロスオーバーが難しい
しかも、ホーンスピーカーは再生可能帯域を越えると極端に音圧が下がる。ほとんど音が出ないといってよい。一般のコーンスピーカーなどは再生帯域を越えてもだらだらと音が出ているのと対照的にスパッと音が出なくなる。
これはクロスオーバーが難しいことを意味する。スパッと切れたスピーカーの音を繋げるのは難しい。特に500Hzなどでクロスオーバーしようと思うと中高域ドライバーの再生限界周波数なので凄く難しい。聞いた感じは、中域と低域が分離したような音に聞こえる。ボーカルが2つの音に分離した様な感じ。音がなじまないのだ。
これをうまく解決するのは、私の提案するスピーカープロセッサを使ったノンカットクロスオーバ法しかないと思う。(そのためには良い音のスピーカープロセッサを探さないといけなくなる)
(4)パワーアンプの音を選ぶ
ホーンスピーカーがメリハリの有るシャキシャキの音なので、アンプは控え目でクリアな音でないとうまくマッチングしない。KSA-80BとB-2Xが今まで聞いた中ではホーンとのマッチングが最高だった。
色々苦労して最近やっとそれなりに満足できる音で鳴るようになった。(まだベストとは思っていないが)
- 2012/06/21(木) 00:23:56|
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