下記は去年2月に書いた記事だが、これも基本的に正しいと思っている。
オーディオ誌を見ていると、”パソコンはデータエラーをすることがある" とまことしやかに書いてあってびっくりする。これはある意味正しいが、論旨を読むとパソコンの中身を全く理解されていないと感じる。もしPCやコンピュータシステムが本当に確率的にエラーをするのなら、銀行のオンライン取引であちこちで間違いが起こって皆さん仕事にならなくなってしまうのでは?そんなこと起きてないですよね?
パソコンはパケット処理でファイルを転送している限りエラーをする確立はゼロに近い。ではなぜパソコンをオーディオに使うと音が悪くなるのかというと、パケットによるファイル処理ではなくリアルタイムで一定の時間内に必ずデータを渡す必要がある仕事(オーディオやビデオ)にはとても弱いから。例えばCDドライブから音楽データを読み出す時はパケット処理(ファイル読み込み)ではないので間違いやすい。
この差を理解せずに、”パソコンはデータエラーをする事がある”と言うのは??ですね。正確には、”パソコンはファイル処理でないやり方でリアルタイムにデータを提供するのは苦手である"でしょう。
昨年2月の記事

PCオーディオFANの3号に、御田さんが書かれた”CDをこれからも大切に聞こう"という記事があり、内容は”CDのデータは正確に読み出されていないのか?”という内容でした。この記事が勇気ある発言であるとかなり話題になったそうです。素晴らしい記事です。
記事の結論を言うと、CDから読み出されたデータはエラー無くメモリーやハードディスクに読み出されているという内容で、私は逆の意味でこの記事を読んで驚きました。
このような記事がまだ必要であるということが信じられない気分でした。
コンピューターがCDからデータを読み出したり通信したりする時に、データを間違えるなんて事は万に一つも無いことはコンピュータエンジニアなら誰でも知っていることでしょう。もしそうで無いなら、皆様の預金口座のデータがしょっちゅう無くなったり間違ったりするし、CDに記録されたプログラムをパソコンに読み出すときにすぐにエラーになっているはずですよね。
そんなことは起きているはずがありません。
PCオーディオでデータエラーが起きる理由は、音の世界が ”待ったなし”で動作しなくてはいけないのに対し、コンピューターの世界は ”待った有り”で動いているからです。
皆さん、パソコンでホームページなどを見るとき、その時々ですぐに見れたりなかなかページが出てこなかったりしますよね。でもいくら遅くてもページが間違って出てくることはまずありません。このようにパソコンではデータが来るまでの時間は一定していないけれど、データがエラーすることはまずありません。つまりパソコンの世界では好きなだけ待たせることが出来る事により、データエラーは起きないようになっています。
一方で、オーディオデータはどうかというと、オーディオデータは決して容量的に多くはないですが、ある一定時間内(CDデータなら1秒間に44.1KHz)に次のデータが来なければデータエラーになってしまいます。つまり音データは待たせることはできないのです。
したがって、この二つの世界を結びつけるときは、データを待たせないようにする工夫が必要です。
最近、そのことが大分浸透してきて、USB通信を ”待った有り”のASYNC通信にしたり、データを余分に保管しておくメモリーバッファーを入れたりの工夫を皆さんされています。
ですので、図の上側のようなシステムでは音が悪くなるのは誰でも理解できると思います。しかもコンピューターが出すクロック信号をUSB経由で送ったクロックを元に音楽を作ったらジッターが多くて音が悪いに決まってますよね。でもこういうシステムがものすごく多いのです。。。
ルビジウムクロックが必要なのかどうかはともかく、少なくとも図の下のようなシステムになっていないと、”待った無し"の音楽信号は作れないですよね。。。
この二つの世界の架け橋になるD/Dコンバーターがいかに重要かがご理解いただけるのではないでしょうか。
- 2012/05/23(水) 00:24:04|
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下記は去年2月に書いた記事だが、これも基本的に正しいと思っている。オーディオ誌を見ていると、”パソコンはデータエラーをすることがある
- 2012/05/23(水) 04:37:50 |
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