
上図はサンプルの1インチ中音ホーンスピーカーの周波数特性。仕様は下記。比較的小型であるので、推奨クロスオーバーは1000Hzとなっている。1インチホーンとしてはかなり良い特性だと思う。
●形状: 木製デフラクションホーン
●適合ドライバ: 1インチ
●カットオフ周波数: 500Hz
●推奨クロスオーバー: 1000Hz(12dB/oct),850Hz(18dB/oct),750Hz(24dB/oct)
●外形寸法・質量: 約40cm(幅)×12cm(高)×27c(奥)
これを見て判るのは、クロスオーバーの1000Hzに対して2オクターブ下の250Hzではほぼ-20dBとなっている。つまりこのスピーカーは裸の状態ですでに -10dB/Oct の減衰量となっているのだ。
ということは、-6dB/Oct でクロスさせたいのなら、音の減衰量を見る限りチャンネルデバイダーは要らないと言う事になる。もしこのホーンに -6dB/Oct のチャンデバを使ったら、音の減衰量は約 -16dB/Oct となってしまう。
つまり、スピーカー屋さんが1000Hzでカットオフしろといっているのはスピーカーを壊さないためなのだ。
その証拠に、”1000Hz(12dB/oct),850Hz(18dB/oct),750Hz(24dB/oct)”と記載がある。ウーハーとのつながりを良くするためにこうしろと言っているのではない。
このスピーカーで 1000Hz、-12dB/Oct のチャンデバを使ってクロスオーバーしたら、1オクターブ下の500Hzでも -22db になる。これはほとんど音は聞こえないといってよいレベルだ。これではあまりにも急峻なカットオフ過ぎないだろうか?
本当にこんなクロスオーバーの仕方でよいのだろうか?
いままでチャンデバを使って聞いてきた音は、こういう繋がりの悪い音だったような気がする。スピーカー屋さんが責任を回避するために急峻にカットオフしろと言うのは解るが、私達は通常家庭では1Wも出しはしない。そう簡単にスピーカーが壊れることは無いはずだ。
私達が考えるべきことはこの2か条ではないのか?
(1)クロスオーバー周波数の前後2オクターブに関しては、各スピーカーの音量を -6dB/Oct で滑らかに繋ぐ
(2)それよりずれた周波数帯の音はなるべく急峻にカットしてスピーカーを保護する。
市販のチャンデバではこれは実現できないと思うのだが。
- 2012/04/10(火) 22:57:47|
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