

私はホーンスピーカーの音が大好きだ。イベントなどで聞くエレクトロボイスのプロ用ホーンスピーカーから鳴るサックスの音など惚れ惚れする。そう思って家でホーンスピーカーを鳴らそうとするとこれが大変手ごわい。
まず効率が高すぎる。大型の中音ホーンなどは115dB以上ある。コーン型より20dB程上だ。これが何が問題かと言うと、パワーアンプのノイズがもろに聞こえてしまう。特にプロ用のアンプは家庭用のアンプよりゲインが幾分高い(NFBが少ない)ので余計にノイズが出てしまう。また大出力アンプをすごく小さな出力で聞くことになりリニアリティーが良くない。根本的に家で聞くような小さな音向きではないんでしょうね。ホールを揺るがす大音響で無いとホーン型の実力が出せないのでしょう。
それとホーンスピーカーはホーンロードがかかっているせいだと思うが、とにかくパワーアンプの選り好みが激しい。スピーカーを押さえつける能力が無いととてもうるさい音になってしまう。JBLの中音ドライバー2420をまともに鳴らせたアンプはKRELLのKSA-80Bだけだった。ダンピングファクターだけでは計れない何かの要素があるんでしょう。
私はまだ2インチのホーンの音を家では聞いたことが無い。期待している。だがそれも限界があるようにも感じている。なぜならスペックで見る限り中音ホーンの限界クロスオーバーはほぼ一致して500Hzだ。ところが我が家にあるJBLの2205Bなどコーン紙の硬い38cmウーハーはクロスは400Hz未満で無いと音が濁ってしまう。
そうなると中音ホーンを使うなら4WAYにせざるを得なくなる。ミッドバスにコーン型が欲しくなる。大体、20年ほど前の最高級スピーカーが4WAYなのもうなずける。
そのようなシステムを構成するとなると、家を改造して設置できるような大型ホーンならいざ知らず、一般的なスピーカーシステムとしては大きくなりすぎる。そこで世の中のスピーカーは多数駆動のフルレンジ+ウーファー+ツイーターと言う構成に代わって行ったのでしょう。
ホーン型スピーカーの良いところは音の空振り感が少ないところだ。大きな音はそれなりに大きく、小さな音もそれなりに小さく聞こえる。
空振り感のあるスピーカーは大きな音はやたら大きく、小さな音は聞こえないくらい小さく聞こえる。大体世の中のブックシェルフ型の音はそういう音だ。こういうスピーカーからは音の奥行きや空気感が感じられない。ハイスピードと称するようなスピーカーはそんな感じのものが多い。
ダイナミックレンジと言うのは大きな音が出れば良い、スピード感と言うのは激しい音が出れば良いと思っている人もいるようだが私は違うと思う。小さな音がきちんと聞こえるかの方が大事だ。
我が家のスピーカーも多数駆動することで空気の空振り感が随分抑えられた。空気感や奥行き感が感じられる音になり、気持ちよく聞けるようになった。かなり良い線行っていると思う。
だが、今の我が家のスピーカーシステムは残念ながら音のパリパリ感がいまいちだ。不思議だねー、ダイナミック感も十分あるし、弦やピアノの音はとてもきれいなのだけど、サックスやボーカルが今一歩だねー。。。ウーファーとの繋がりも今一歩な感じがする。
スピーカーは奥が深いね。ネットワークを使ってきちんと鳴るスピーカーを作る技術って神業だと思う。私はマルチでやっているからボリュームひとつで色々変えられるけど、ネットワークの定数を変えて実験するなんて気が遠くなる。その忍耐力を尊敬します。
オーディオはまだまだやることがあって楽しいね。
- 2011/05/29(日) 22:47:53|
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