僕はブームに流されずに(そもそもブームのモノに興味が持てない)、自分で実験して納得したモノのみを採用する様にしている。
なぜなら、例えば最先端のDACチップの性能(例としてAKMのDACチップ)は、僕らが用意できる周辺回路の性能よりはるかに上なので、その性能を追い求める必要は全くないから。周辺回路を極限まで改善しないと今のDACチップの性能の良し悪しは評価できない。
DACユニットの事を考えてみると、DAC回路そのものの技術よりデジタル電源の質の方がよほど音質に大きく影響するし、もっと言えば、電源トランスの大きさ・重さで音質が大きく変わる。小さなシャーシに、基板やら小さなトランスを詰め込んだ様なDACユニットから良い音が出るとはとても思えない。そんなことはちょっと経験を積んだ人ならすぐにわかるはず(デジタルオーディオの音質悪化の原因がジッターであることを考えれば当たり前)だが、回路技術の向上のみを考えている人は音質向上についてはあまり興味は無いように見える。まあ、『DACの音質向上のために電源トランスをうんと大きくしました。』といっても営業的説得力は無いよね。
真空管アンプもすごくシンプルなプレート負荷の回路で素晴らしい音が出せるのが分かってきた。凝った回路にするよりシンプルな回路で良い部品にこだわってお金を使った方が良い。電源に工夫した無帰還でシンプルな回路が一番だ。回路を複雑にして信号が通過する部品数を多くするデメリットの方がはるかに大きい。まあ、これも『究極の良い部品を使ってプレート負荷回路で無帰還の回路を組みました。』といっても営業的説得力は無いよね。
ハイレゾなどにしても、ハイレゾにして音が良くなるより、回路方式を見直した方がよほど音質向上が得られるだろうけど、まあ、ほとんどの人は音質なんてどうでもよくて、『回路自慢』だったり、『イメージ自慢』だったりがしたいだけなんでしょうね。
『信号経路をなるべくシンプルにして、良い部品を選んで使う』 のがオーディオの神髄だと思う。信号経路の回路を増やす時はそのメリットとデメリットを比較して、入れるべきか入れないべきかをよく考えないといけない。
この40年でオーディオの音質は全く(アナログからハイレゾに変わっても)進化していない。そもそも何を目的にオーディオをしているのかから考えないとしょうがない。音質を求めるのではなく、単に便利さやかっこよさを追求するのなら話は別だが。
僕は音質向上のために、入手可能な部品を駆使して究極のシンプルを求めていきたいと思っている。

- 2021/04/02(金) 11:15:11|
- システム解説
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