僕はハイレゾなどの技術競争がオーディオをつまらなくし、音質も悪くしたと思っている。そういう難しい屁理屈が優先されてしまって、音質にとって大事な技術が蔑ろにされているから。
昔のオーディオは、物を見れば大体どんな音が出そうか想像が付いた。だが、デジタルになってから、ユーザーはサッパリ中身が分からないし、どんな音かも分からない。
崖から飛び降りた気持ちで、30万円出してDAコンバーターを買ってもガッカリするばかりだ。
30万円出して進歩が感じられないなら、そんな趣味は成り立たない。そう言う意味でオーディオは趣味として終わっているのだ。
最近、スピーカーの分野では自作派をサポートする事で、着実にユーザーを獲得していらっしゃる会社さんがある。音質レベルもユーザーと共にどんどん上がっている様だ。尊敬すべきやり方だと思う。それに比べて、電気系は全然ダメだ。
最近いろいろ実験してみて確信した。本当に心動かされる音が出る機材は、屁理屈で武装した機材ではなく、地道に改善を重ねた機材だ。電源ノイズをへらしたり、グランドの取り方を工夫したり、クロックを改善したり、電源トランスは大きい方が良い。DACチップの音質なんて、この30年全く進歩していない。問題はそれの使い方だ。
昔のオーディオは、例えばプレーヤーのトーンアームだって、カートリッジだって、昇圧トランスだって、大体五万円出せばかなりの高級品が買えたよ。それに比べて、今は五万円では音質的にはクズの様な機材しか買えない。(機能は良くても)DAコンバーターの良い物が欲しいなら100万円くらい必要ではないか?
そんなのリスク高すぎてやる気にならないよ。
だからDAコンバーターを売るのではなくて、それを構成する部品を売るべきなんだと思う。
DAコンバーターの重要な要素は、電源、グランド、クロックなのは明確だから、そこをしっかり押さえた上で、DACチップやアナログ回路などは好みで変えられる様になっていたら、どんなに嬉しいか。そういう機材があれば30万円出して進歩が無いなんて事はないでしょう。
そういう意味では、MiTake さんの基板ビジネスは一番それに近いやり方だ。僕も愛用している。願わくばもっとハイレベルな音質を目指して回路を考えていただけると嬉しいのだが。
DAコンバーターの中身を規格化して、いろいろな部品(基板)を交換して楽しめる様なキットがあったら嬉しい。それが本来のオーディオの楽しみ方だ。お金が出来た時にちょっとずつ高級部品に変えていける様なDACキット。そんなのがあったら楽しいなー。
もういい加減、音質からかけ離れたオーディオビジネスはやめようよ。一回五万円で必ず改善出来るオーディオでなかったら、オーディオに未来はないよ。
(そんなオーディオに愛想をつかして、昨今のオーディオはむしろ音楽を作る方にシフトしているし、それは創造的な良い事だと思うけど、『聞く』オーディオも残って欲しいな。)
- 2021/01/24(日) 12:43:03|
- システム解説
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