Keiさんから良いDACがあるから聞いてみてくれとのことで、お借りして聞いてみた。
PCM1795DAC基板この写真にはいろいろなものが繋がっているけど、DAC基板自体は無改造。
生基板については上記のWebを参照。

右半分は電源、白い基板はUSBインターフェース、LCDも繋がっている。
いつもの様に半信半疑で聞いてみる。
聞いてびっくり。凄く良い。はじめDA3000のアナログ出力から聞き比べを始め、グレードを上げて行ってどこまで行くかやってみた。
(ちなみに、音が良くなるまで30分程度はかかるようだった)
驚いたことにどんどん勝ち進み、DA-3000+D-70+WD-CL10の内臓XTALによるワードクロックまで打ち負かしてしまった。
さすがに、DA-3000+D-70+WD-CL10+OCXO にはかなわなかったが、値段を考えると超コストパフォーマンスが高い。
音の感じはすごく類似している。信じがたい。この基板、D-70+WD-CL10+OCXOを持っていなければ即買いだ。
どうも各段の電源に特殊なレギュレーターが入っているらしい。なので外部の電源はそれほど凝らなくても良いらしい。
(それ以外にも特徴がいろいろ有るらしいがよくわからず)
だが、今までの常識を覆しているところが多々ある。
① 基板上にXTAL
② ごく普通の低コストDACチップ
③ アナログバッファはOPアンプ
④ ごく普通の部品
⑤ ワードクロック使わずに内臓PLL
私は自作派の優秀なエンジニアの方々の耳はあんまり信用していないんだけど、この方の耳は信用できるね。
なんだか、ワードクロックやOCXOを外付けするのが恥ずかしい感じだ。
- 2016/05/09(月) 21:56:54|
- DAC
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yohineさん
ぜひ一度お話ししたく伺いたいと思います。近々メールさせていただきます。
> 特にもともとが純粋な電気系エンジニアですと耳の専門家ではないので、なおさら耳の客観性を維持することは難しいと思います。
全くおっしゃるとうりだと思います。私も元は電気エンジニアだったので、回路に凝りたくなる気持ちは判るのですが、オーディオはそっちで満足してはいけないと思うんですよね。だからなるべく回路はいじらないようにしてます。(単に無精で音を聞くのが好きなだけですが。:-)
- 2016/05/11(水) 23:08:06 |
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- Cocoパパ #-
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keiさん
J-testの結果ありがとうございます。当方のものは比較的新しい技術なので測定面でも問題がないように作っていますが、古いDACはやはり測定で若干劣るようですね。
当方でもThetaの古いDACを測定してみたことが有りますが、DASと似たような感じでした。でも音は全然悪くないので面白いです。
当方では耳に相関性のあるローノイズ性能は非常に重要だと思っているのですが、測定上のSNが悪い古いDACでも音質が良い理由についてはまだ決定的な法則はわかっていません。
測定による音質差もあるのですが、それだけでは決して決定的な差とならない点はオーディオの難しく面白いところですね。
Cocoパパさん
いえいえ、こちらこそいつも参考にさせてもらっています。タイミングさえ合えば伺ってという形も対応は大丈夫ですので、もし何かご希望がある場合にはメールよりご連絡ください。
回路で凝るような事例で問題になりそうなのは、それが音質と関係あるかどうかだと思います。純粋な技術者の場合ですと、理論とか計算上で判断することもあると思います。しかし実はそれが音質とは関係がない、または他に音質的課題が発生する場合もあるでしょう。
特に「理屈ではこうなるはず」という先入観で音を聞くと、そのように聞こえるものですから、この辺りが難しさだと思うのです。
特にもともとが純粋な電気系エンジニアですと耳の専門家ではないので、なおさら耳の客観性を維持することは難しいと思います。
- 2016/05/11(水) 16:59:37 |
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- yohine #-
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Yohineさん、こんばんは。
コメントいろいろありがとうございます。
回路的に凝った構成の基板はあまり良い音だったためしがない中、おそらくシンプルな構成を突き詰めていらっしゃるのだと思います。素晴らしい音だと思いますので、ぜひ今後も情報いただけたら幸いです。機会が有りましたら、伺ってお話できたらうれしいです。
今後もよろしくお願いします。
- 2016/05/11(水) 00:13:49 |
- URL |
- Cocoパパ #mQop/nM.
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Yohineさん、こんにちは。直々にコメントをありがとうございます。里子に出す前に、手元で、DAS-703ESとこのDACのJTEST測定をしました。EMU-0404 USBを使った測定なので、絶対値にはあまり意味がありませんが歴然としたジッターの差があり、驚きました。こんな感じです。
もちろん、これが聴感上どう現れるのかは難しいところだとは思いますが。
https://flic.kr/p/GBREeh
- 2016/05/10(火) 23:03:32 |
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- kei #N/7Pc.D2
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こんにちは。
大変好評いただきまして、ありがとうございます。
この基板は今となっては過去の技術ですが、いまでもなかなか良い音は出ると思います。
挙げられていた項目についてお答えします。
①基板上にXTAL
この基板で使用しているクロックオシレータはWD-CL10内蔵のものより大分クオリティは低いものを使っています。低位相雑音ではありますが高精度ではありません。価格はWD-CL10で使っているTCXOの1/5位だと思います。ですのでクロックを載せかえれば音質面では更に上に行く余地があります。
②ごく普通の低コストDACチップ
DACのIC種別は従来で言われていたよりずっと音質面での重要度は低いということではないでしょうか。ビンテージのDACで音が良いというのも同様の理由かと思っています。表面上のスペックは良くなっていますが、実は世代の進化で音質はスペックほど良くなっていないということかもしれません。
個人的経験ではICなどより配線レイアウトのほうがよほど重要で、よくある機能別の個別基板から長く配線を取り回したらその配線自体がロスになりますので、一線を越えた良い音は出ないと思っています。この悪化はICの種別よりずっと大きいです。
③アナログバッファはOPアンプ
オペアンプは厳選しているので音質面の配慮はしています。従来はこの部分をすべてフルディスクリートで組んでいましたが手間に見合うほどの音質向上はないのでやめました。
ちなみに画像ではアンバランス出力を使っているようですが、アンバランス出力のほうの出力回路には若干手抜きがあり少し音質が落ちます。具体的にはセラミックのカップリングコンを通過していること、オペアンプの供給電源の質が(バランス部と比べて)少し悪いこと、差動合成のオペアンプに少しグレードの低いものを使っていることがあります。
以上の理由により、実はバランス出力端子から出すほうがずっと高音質です。ただしバランス出力はパワーアンプ側でミュートされることを想定して設計しているため、ミュート回路がなくポップノイズがあります。またDC成分を含みますのでDCオフセットのあるバランス信号をそのまま受けられる機材が必要です。
④ごく普通の部品
オーディオでは一点豪華型はコスト効率が悪く、それよりもバランスが良くて隙のない設計がより効率的な高音質のための手段ということで、実際にこの基板が一見平凡なのは高コストの一点豪華型ではないからです。~を使っているから音が良いといえるほど簡単じゃないと思っています。これはDACのICの話と同じです。
⑤ワードクロック使わずに内臓PLL
当方の基板ではジッター対策は以前からお伝えしている通りSRCのみです。それ以外には特別な対策はしておりません。ここから上にいくためにはSRCのみではなく他のジッター対策もしたほうが良いのではないかと思うのも以前にお伝えしたとおりです。
以上、ご参考になれば幸いです。
- 2016/05/10(火) 13:59:17 |
- URL |
- yohine #-
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