ジッターがデジタル回路をまたいで伝染する原理がわかったように思う。

ハブやネットワークプレーヤーなどのデジタル回路の内部原理はおおよそこうなっていて、要するに入力されたデジタル信号はPLL回路によってデータを取り込むための内部クロック1が生成されてバッファメモリに取り込まれ、バッファメモリからシリアルデータとして出力されるときは別の内部クロック2で吐き出すので、リクロックが行われるのでジッターは伝染しない。というのが一般論だ。
一般論は、
この記事に端的に述べてある。
だが考えてみると、一枚の基板の中に二つのクロックがあり、ましてやバッファメモリーは双方のクロックのタイミングで書き込まれたり読み出されたりしているのだから、グランドや電源の振れもあるから、クロックのジッターが伝染しないはずがないだろう。
さらに言えば、PLL回路は入力されたシリアルデータに追随してデータを確実に読み込むのが目的だから、下手をするとクロックのジッターを増加させる可能性だってある。(クロックのジッターを減らすのがPLLの目的ではない)
そうしてデジタル回路をまたいでジッターが伝染していき、DAI回路を通して伝染し最後にDA回路に到達する。
もちろんこの手の回路にジッターを減らす効果もあるだろうが、あてにならないし、完全ではないという事。世の中に多数存在するリクロック回路が宣伝で言われるほど効果を感じないのはそのためだろう。
この原理で、NASで生じたデジタル回路のジッターが最後のDA回路まで伝わってしまう。だからNASの出すLANのシリアルデータの良し悪しが音質に影響する。
逆に言うと、回路の途中に高品質なHubなどの回路を重ねて入れることで特定のジッターを抑えることもできるのだろう。Hubによって音質が変わるのは、ジッターを抑制しやすい回路になっているかどうかだと思われる。なので、長距離伝送に対応したHubの方が音が良いようだという事の説明がつく。(ジッターが多いと長距離伝送した時に受信できなくなるから)
これで、NASの電源の質やSSDの質で音が変わるのも納得できる。おそらく最上流にあるNASの出すジッターが一番大きいと思われる(そもそもジッターを少なくしようなんて概念がない機器だから)ので、音質にすごく影響するのだろう。
さらに言うと、入力されたシリアルデータにジッターが多くてPLL回路が暴れた状態で書き込まれたバッファメモリーのデータは、読み出しの時にもタイミングが暴れた(アクセス時間にばらつきの多い)データを出すだろう。そのリードタイミングの暴れはノイズの基になる。だからバッファーメモリーへ書き込むシリアルデータの品質が大事なのだ。
良いNASやHubかどうかをテストする方法としてLANケーブルをうんと長くしてテストしてみるというのも手かもしれない。
この様に考えると、プロのオーディオ機器のように、PLLなど入れずに全機器を一つのマスターワードクロックで同期運転させるのが一番良いという事か。
ジッター伝染の元凶はPLLだと言っても良いと思う。世の中にクロック改善をアピールする機材はたくさんあるけれど、クロックの質が問題なのではなく、システム全体を同期回路にしてPLLを除去することが重要なのだと思う。
- 2015/11/01(日) 15:06:53|
- ネットオーディオ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0