D/Aコンバーターを評価するときに何が重要か考えてみた。
(1)アナログ要素
D/Aコンバーターチップ以降のアナログ回路や、電源回路、シールドなどアナログに
関する要素。
判りやすい例として、MHDT社のHAVANAはバッファ回路に真空管を使っている。
また、スイッチング式のACアダプターを使っている物などは論外でしょう。。。
(2)D/Aコンバーターチップのコンバージョン方式
デルタシグマ方式や1ビット式はチップの生産コストを安く出来るが、音はいまいちだという
話がある。D/A変換自体に時間軸の要素が加わっているかららしい。
そうではないR2R式など単純な構造のチップの方が音が良いらしい。ただしそういうチップは
抵抗値の調整にレーザートリミングが必要で、コストが高くなる。バーブラウンのチップ
PCM56やPCM1704が音が良いと有名。
(3)オーバーサンプリング
標準的なD/Aコンバーターは8倍オーバーサンプリングの物がほとんどだが、
ノンオーバーサンプリングの方がよいという話がある。PCM56はノンオーバーサンプリング。
(要するに非常に古く原始的D/Aコンバーターチップだという事) PCM1704は
8倍オーバーサンプリング。
オーバーサンプリングするとローパスフィルターが簡易ですむためコストが安くなる。
MHDTのHAVANAはノンオーバーサンプリングで、バッファーを真空管にしてフィルターしている。
(4)DAI回路
SPDIF信号をD/Aコンバータチップが受け付けられるI2Sなどの信号に変換。
SPDIF信号はデータ信号だけなので、そこから同期のためのクロック信号も生成。
この回路でSPDIF信号のジッターが抑えられるかがキーポイント。
クリスタルのCS8416やTIのDIR9001が有名。
CSシリーズは192KHzまで対応だが水晶振動子を持たないフリーラン型のPLLだから
私はあまり信用できない。入力信号にジッターがあってもそれに追従してしまうのではないか?
基準となる水晶振動子を持たないのだからそうなるしかないはず。
DIR9001は水晶が付けられる。スペック上ジッターが50PS以下だから良いという話があるが
私はそれは信用していない。もしDIR9001が水晶振動子の周波数を元に元信号に
ジッターがあってもジッターを補正するように働いて出力を出すなら素晴らしい設計だと思う。
もしそうでないなら、リクロックなどしてI2S信号を生成するべき。高級なD/Aコンバーターは
そうしている。DIR9001は96KHzまで入力信号に対応。
こんな回路もあるようだ。
(5)PCのUSB端子からD/Aコンバータに繋ぐまで
最近はD/Aコンバータ自体がUSB回路を持つ例が増えている。だが問題はその内部回路が
デジタル信号のジッターを抑えるようにきちんと設計してあるかどうか??
非常に怪しいと思う。そういう意味でUSB回路内臓のD/Aコンバーターを買うのは危険だ。
一部のD/AコンバーターはD/AするクロックをSPDIF信号によらずに持っている。
そういうものでないと危ない。
D/Aコンバーターに同期用のワードクロックを入力できればすべての回路がそれに
同期して動くからジッターの問題は無いはず。だが、数百万円単位のものもあり。
私はそんな法外なコストをかけるのは間違っていると思うし、きちんと設計すれば
そんな必要はないはず。
残念ながらHAVANAのUSBインターフェースはあまり音が良い物ではない。
したがって、SPDIF入力を使う。hiFace EVOを使ってSPDIF信号を
作りHAVANAに入力すると素晴らしい音で鳴る様になった。
残念ながら内部でリクロックしたりはしていないようだ。
MHDT社のHAVANAは極力複雑な方式をとらず、シンプルな(原始的)方法で
解決する方法をとっている。私は好きだし、音も良いと思う。
- 2010/11/23(火) 22:21:36|
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